日本食や寿司を握ることができたら、海外で就職・転職することができるの?
という疑問を持っている人へ!
料理人として、海外への就職・転職を考えている方の疑問にお応えします。
僕は寿司職人としてカナダのトロントで2年間働き、バンクーバーの日本料理店で1年間働きました。
その後、独立してテイクアウトの寿司屋をバンクーバーで経営しています。
海外への転職活動・海外飲食店のリアルな現場について紹介します。

本当に日本人シェフが海外就職できるの?

寿司を握れたら海外就職できるの?
海外に就職・転職するうえで寿司を握れることは内定をもらう大きなメリットになります。
外国の雇用主から、その国で働くビザをもらうためには、専門的な技術や経験が必要です。
海外に働くために唯一必要なものは働けるビザです。英語ができなくても専門的な技術さえあれば海外就職・転職はできます。
逆に英語ができるだけではワークビザをもらうことは困難です。
海外転職サイトを調べれば、日本人シェフの求人が掲載されています。
寿司職人は人気なので、海外就職したい人にオススメの職種です。

寿司以外の海外転職に有利な日本食
寿司だけではなく
- 日本料理
- 天ぷら
- ラーメン
- 焼き鳥
- 和スイーツ
など、海外で人気の料理の経験があれば、海外転職に有利です。
カナダではラーメンの勢いが凄まじいです。
ぼくが働いていた会社は、寿司屋1店舗、居酒屋4店舗、ラーメンは20店舗以上、運営しています。
さらにラーメンの店舗は増え続けています。実際に日本の有名店も続々と北米に進出してきています。
他に勢いのあるのは和スイーツです。カナダはアジア人も多く、日本の上品な甘さのデザートが流行っています。
今後は日本人パティシエの需要も高まっていくでしょう。
とにかく海外に転職したい方へ
とにかく海外に転職したい人は英語を勉強するのではなく、料理人になることも一つの手段です。
料理以外で海外就職を目指している人は海外の求人サイトを見て、今世界が何を日本人に求めているかを理解することが重要です。
そして目標となる海外就職を実現させるために、逆算して日本での仕事を決めるべきです。
修行・転職活動・海外就職【経験談】


海外就職のために寿司を学んだ3年間
子供の頃から海外で働きたいと思っていたので、大学在学中の就職活動では海外支社がある会社ばかりに応募していました。
ですが、海外支社がある会社に就職しても、海外で働ける保証はないと知りました。
それなら自分の意思で海外で働くことができる仕事をしようと決意し、寿司屋に就職しました。
かなり安易な考えですが、10年前の僕は「外人は寿司が好きだから寿司職人は世界中どこでも働ける」と思っていました。
料理経験はなく、超初心者でしたが、3年間で魚のおろし方から握り寿司まで全て覚え、海外に就職しようと心に決めました。
入社した大阪の寿司屋は、創業60年を超える老舗でしたが、高級寿司屋ではなく、地元の人たちが集まる大衆的なお店でした。
そのお店は、お客様の数も多く、その分仕入れる魚の量もハンパなく、毎日いろいろな魚をさばいていました。
当然、皿洗い・出前・接客もこなしました。
2年目に入るときにはフグもさばけるぐらい、一生懸命勉強しました。
寿司を握るまでには覚えることがたくさんあり、シャリ炊き・魚の捌き方・ネタの切りつけ・巻き寿司・押し寿司など、全てをこなして3年目にして、ようやく出前のお寿司を握らせてもらいました。
しかしカウンターに立つのは、40歳以上の先輩たちで、ぼくが入る余地はありませんでした。
計画していた3年が経ったので、きっかり入社から3年後の3月31日に退社しました。

海外への転職活動
退社する3ヶ月前から、求人サイトで海外のお寿司屋について調べていました。
求人には寿司経験が◯年以上、高級寿司屋の勤務経験必須など、レストランの求める条件が書かれており、自分の経験で応募できるお店に履歴書を送りました。
全てがオンライン上でのやりとりで、履歴書をメールで送った後に、スカイプ面接という採用の流れでした。
トロントとカルガリーの2つの寿司屋に応募しました。
採用されるまでの過程は全てが日本語で、英語を使うことは全くありませんでした。
運良く両方の寿司屋から内定をもらいました。悩んだ結果、トロントのお店に行くことに決めました。
海外転職活動はパソコン一台あればできました。英語も必要なく、自宅で完結しました。
note:月収14万円の平凡な寿司職人が、海外就職→月収70万円→28歳で海外起業した方法(英語は話せません)
海外のリアルな飲食店の現場

カナダで働くためにはビザが必要で、許可がおりるまで日本で待機する必要がありました。
その期間は仕事をしていなかったので国内を転々と旅行しながら過ごしていました。
ビザを取得してから航空券をとり、仕事をやめてから3ヶ月後にカナダに渡航できました。
空港には現地社員の迎えがあり、事前に用意していただいたシェアハウスまで送ってもらいました。
息つく暇もなく、トロントに着いた3日後には働き始めました。
就職先のお店は寿司カウンターの横にバーカウンターがあり、スタイリッシュでオシャレな内装でした。
想像していた海外の寿司屋は、日本よりゆったりした職場環境で、みんな笑いながら、のほほんと寿司を握るイメージでした。
しかし職場環境は日本の寿司屋となんら変わりありませんでした。
むしろカナダの寿司屋ほうが過酷な環境でした。
日本人のヘッドシェフ(料理長)はかなり怖い人で、大阪で働いていた寿司屋より仕事は大変でした。
キッチンスタッフは皿洗い以外の全員が日本人シェフで、接客スタッフは日本人とカナダ人が半分半分の割合でした。
勤務時間は1日11時間、休憩は10分を3回という、体力勝負の現場でした。
入った初日からカウンターで寿司を握っていました。
日本の寿司屋では触ることの出来なかった200キロを超える本マグロを任されたりと、仕事の内容は新鮮で楽しいものでした。
日本では年配の職人がいたので、なかなかさせてもらえなかったことも、カナダの寿司屋では全てさせてもらいました。
若い人は日本より海外で寿司を学ぶ方が上達スピードは早いかもしれません。
トロントのお店で2年間働いた後に、バンクーバーの日本食店に転職しました。
その店もシェフ・スタッフは全員日本人で、職場環境は日本と同じでした。
海外で働いたとしても日本人経営のお店は日本式の仕事内容なので、海外だから楽に仕事ができるといった淡い期待は捨てるべきです。
海外ならではの給料・スピード出世
就職してから8ヶ月後に、料理長が新店舗に行くことになり、僕がその店の料理長を任されました。
日本では考えられないスピード出世です。
従業員の平均年齢が低いので、若い人でも重要なポストにつくことができました。
入社した時の給料は$2400(約20万円)でしたが、1年後には$3800(約30万円)になっていました。
北米はチップ文化があり、料理長の時には1日あたり$170のチップを給料とは別にもらっていました。
合計すると、料理長時代の月給は$7540(約60万円)でした。
大阪のお寿司で働いている時は1ヶ月で20万円の給料だったので、転職して1年で給料は3倍に跳ね上がりました。
これは運もありますが、そのまま日本にいれば、実現しなかったことは間違いないでしょう。

まとめ

海外就職するためには英語力ではなく、専門的な技術や経験が必要です。
日本食が海外へ認知されるのと共に、日本の料理人の需要が高くなっています。
将来的に海外就職を考えている人は料理の道に足を踏み入れるのも一つの手段です。
ただ一つ知っていてほしいことは、海外就職がゴールではないこと。海外の飲食店は楽に働けると思っていると、痛い目にあいます。
海外の現場も日本と同じく、仕事内容はキツいです。特に日系のレストランの場合、日本とほぼ同じ環境です。
それでも海外就職がしたいと思う人は、挑戦すべきです。
こちらは有料になりますが、平凡な大学生が卒業から4年で海外寿司職人、6年で起業した方法を説明しています。本気で寿司職人として海外に挑戦したい人は、ぜひ参考にしてください。
note:月収14万円の平凡な寿司職人が、海外就職→月収70万円→28歳で海外起業した方法(英語は話せません)