2018年の5月にカナダのバンクーバーの商業施設内のフードコートで寿司屋をオープンさせました。
トロントで働いていたのですが、子供が生まれたのを機に仕事をやめて2018年2月バンクーバーに引っ越してきました。
バンクーバーに移動した目的は起業ではなく、日本に帰るまでにバンクーバーに単に住んでみたかっただけです。
2月に来て、5月には起業したので、わずか3ヶ月しかありませんでした。そして5月にお店をオープンしてから3ヶ月後の8月にはバンクーバーを離れました。
その後、2年以上日本から遠隔で経営しました。コロナ前までは、赤字もなく順調に経営できました。コロナ禍でも補助金がでていたので、なんとかやっていた感じです。
先日、2年4ヶ月ぶりにバンクーバーに帰ってきました。僕が遠隔で海外のお店を経営した方法を解説していきます。
遠隔で海外の飲食店を経営するポイント
1、信頼できる社員を雇う
1人でいいので、信頼できる社員を雇うべきです。遠隔で経営するには、普通はオーナーがやるべきことも社員にやってもらう必要があります。
ほとんどの契約や手続きなどはオンライン上で可能なのですが、急なアクシデントなどは現場で対処するしかありません。
またお金も全て任せることになるので、業者への小切手の支払いなどは、信頼できる人にしか任せられないです。基本的にカナダは業者への支払い、従業員の給料などは小切手です。
僕の場合はトロントで働いていた時の後輩を雇ったので、信頼関係ができていました。ある程度の性格や人柄を知っていないと、任せることはできません。
2、現金を扱わない
北米でビジネスをしたい人は、無理に現金を扱う必要はありません。日本の感覚だとありえないことですが、ほとんどの人がカードを持っていて、スーパーやレストランなどでは8割ぐらいの人がカードで支払います。
現金を扱うことで、従業員がレジからお金をぬくことが簡単に出来てしまいます。また現金の取り扱いをやめると閉店作業も楽になります。いちいち現金を数えなくてすみます。
僕のお店は最初のうちは現金・カードのどちらでも取り扱っていましたが、途中からカード払いのみにしました。現金払いをやめても、売り上げは変わりません。
コロナの影響で飲食店で現金を扱うことは、少し不衛生なので、これからキャッシュレス化はさらに進むでしょう。
3、信頼できる会計士に頼む
遠隔でなくても、ビジネスをする時には会計士をつかうことは珍しくはありません。
僕が会計士に頼んでいたことは、確定申告と消費税の計算・支払いです。全て自分でやるのには限界があります。
ビジネスだけではなく個人のお金に関する質問もできるので、会計士さんには大変お世話になっています。
もし日本からカナダ政府に所得税などの支払いが、何かのトラブルで出来なくなっても、会計士が代理でできるので安心です。
僕は中東系の会計士に頼んでいるのですが、仕事が早く、料金も安いので満足しています。現地の日本人の会計士に頼むと、けっこうお金がかかりますし、真面目すぎてめんどくさいことが多々あります。
4、レジをネットに繋げる
遠隔で経営するには、売り上げをリアルタイムにどこからでも確認できるようにすると、便利で安心です。
ネットに繋がっていない古いタイプのレジだと、遠隔では従業員が返金などをしても分からず、不正されても気づかないでしょう。
僕の店では、タブレットにSquareのアプリをいれています。さらにSquareとレシートのプリンターを繋げることでレジになります。
Squareはかなり優秀で、売上だけでなく売れ筋商品なども確認できます。日本にいる間は、毎朝Squareを開いて売り上げを確認することが日課になっていました。
5、ある程度は目をつぶる
お金に関しては現金を取り扱わないことで解決しますが、仕入れた商品まで管理するのは難しいです。
店の食材などが大量に盗まれていた場合はフードコストが上がるので気づきますが、多少食べられてもわかりません。店のジュースを飲む、賄いを豪華にする、などは諦めることが必要です。
監視カメラをつけたり、在庫を細かく報告させることはできますが、従業員にとっては働きにくい環境でしょう。またオーナーにとっても 、細かいことをいちいち気にすることはストレスになります。
遠隔で店を任せると決めたなら、社員を信じるしかありません。締め付けをきつくして、従業員から恨みを買われることは、大きな問題に発展することがあるので、小さいことは見逃すべきでしょう。
僕は2年間、店を完全に任せましたが、お金を持って逃げられる、営業をボイコットされたことはありません。本当に大事なことしか口出ししませんでした。
遠隔でしていた仕事
僕が日本からしていたカナダの店の仕事は
- 毎週一回の電話
- 週間売り上げの確認
- 給料の計算
- 税金の支払い
- 管理会社とのやりとり
- 光熱費の支払い
です。
週に一回決めた日にLINE電話でコミュニケーションをとり、その時に他の作業もしていたので、週に2-3時間程度しか働いていませんでした。
たまに冷蔵庫が壊れた、インターネットが使えない、病気をした、などの急な連絡はきました。ですが僕は日本にいるのでどうすることも出来なかったので「自分で何とかして」としか言う他ありませんでした。
賃貸契約更新などの契約関係の重要なことだけは、僕が日本からする必要がありました。オンライン上でなんでもできるので、何か困ったことはありませんでした。
最後に
あまり海外で起業して日本に帰る人は少ないでしょうが、欲張りな人は日本から海外のお店を遠隔で経営するのも面白いと思います。
日本にいる時に「カナダに店を持っている」と言うと、みんなに驚かれましたが、そんなに難しいことではありません。経営して黒字を維持し続けることのほうが難しいです。
海外にも店を出したい、日本でも暮らしたい、いろんな国で起業したいとおもっている人は、ぜひ遠隔でビジネスをしてみてください。
失敗してもいい経験になりますし、話のネタにもなりますしね。