スーパーで美味しい刺身なんて食べられないと思っていませんか?
寿司屋や和食屋で食べるお刺身は、美味しいのは事実ですが、買い方によってはスーパーのお刺身も負けていません。
寿司職人歴10年の料理人がスーパーでの美味しいお刺身の選び方を紹介します。
時間がない人は、最後の結論だけ読んでください。スーパーで美味しいお刺身を買うことができます。
スーパーでお刺身を買うメリット
スーパーでお刺身を買うメリットは2つあります。
1、値段が安い
圧倒的に、店で食べるよりも安いです。
高級店は除き、スーパーのお刺身は回転寿司や海鮮居酒屋などで提供されているお魚と、質の面ではあまり変わらないです。
魚種、鮮度などがあまり変わらないにもかかわらず、お店の半分の値段で食べることができます。
お店は切り方、盛り付けで付加価値をつけるので、値段が高くなるのは必然のことです。
2、部位を選べる
魚には脂がのっている、筋が多い、食感がいい、など部位によって違いがあります。
焼肉屋では部位を指定して注文するにも関わらず、お店で刺身を注文する時に部位を選べることはあまりないでしょう。
刺身を食べて「いつもは美味しいのに今日はあまり美味しくなかった」と感じた時は、食べた部位が以前と違っていたのかもしれません。
ざっくりと刺身の部位を選ぶときののポイントを紹介します。
- 脂がのっている刺身が好きな人は腹側を選ぶ
- 尾の付近は筋が多いので避ける
- マグロではっきりと白い筋が入っているものは避ける
腹>背>尾の順に脂がのっています。また尾に近づくほど筋も強くなるので、尾びれ付近の柵は買うのを避けるべきです。
大きな魚体であるマグロは、噛みきれないほどの大きな筋が入っていることもあるので注意が必要です。
部位の見分け方
マグロはラベルに大トロ・中トロ・赤身と表示されていますが、他の魚は部位が表示されていないこともあります。
腹・背・尾の見分け方について解説します。
サーモンの腹側の部位
画像からも分かるように、腹側は身が薄くなっていることが特徴です。
この写真は腹側の1番最薄の部位になっているので、マグロでいうところの大トロの部位です。
脂ののった刺身を食べたい人にはオススメです。また煮たり、焼いたりするときにも、しっとりと仕上がります。
ハマチの背側の部位
スーパーで1番見かける部位で、厚みがあるのが特徴です。
断面は厚みのある三角形で、腹側より脂ののりは少ないです。あっさりした刺身が好きな人にオススメです。
タイの尾ビレ付近の部位
先ほども言ったように、尾ビレ付近は筋が多く、脂ののりが悪く、鮮度も落ちやすいので選ぶのは避けるべきでしょう。
見分け方としては、尾にかけて尻すぼみに小さくなっています。幅も細くなり、厚みも減っていいきます。
天然 or 養殖?
刺身のラベルには天然か養殖かが表示されています。
安全生、美味しさという2つの項目に分けて説明します。
安全性
どちらが安全かという論争はありますが、決着がつくには時間がかかるでしょう。
天然魚はアニサキスなどの寄生虫のリスクが高く、海域によっては汚染されている場合もあります。
養殖魚は餌に病気にならないための抗生物質が混ぜられていたりもします。
僕の意見としては、天然物のほうが食の安全性は高いでしょう。しかし寄生虫や海水汚染などのリスクがあることも考慮に入れておくべきです。
寿司屋で天然のスズキを仕入れて、味見をした時に、石油みたいな匂いが口の中に広がり、吐き出したことがあります。水質が悪い環境にいたことが原因だと思われます。
一方、養殖魚はハズレを引くことはありません。人工的に品質が管理されているので、抗生物質が使われていても、人体への影響は軽微です。
美味しさ
天然・養殖のどちらが美味しいと感じるかは個人差があります。
海の近くで、天然魚を食べて育った人は天然魚が美味しいと感じます。養殖魚の食感やコッテリした味に違和感を感じるはずです。
逆に都会で暮らし、回転寿司や都会のスーパーの魚を食べてきた人は、養殖魚を美味しいと感じます。都会の人が天然魚を食べたら、さっぱりしすぎていて物足りない感じがするでしょう。
よく漁師さんは「養殖魚なんて食べられない」と言いますが、かなり偏った感想だと思います。
人間は慣れ親しんだ味を美味しいと感じるので、美味しさの基準は人それぞれ違って当然です。
人間の美味しさの基準が同じなら、納豆は世界中で食べられているでしょう。
どの魚がおすすめ?
魚の選び方を説明する前に、生か冷凍について解説します。
当たり前のことなのですが、味に関しては生の魚が美味しいです。
しかし、カツオやサバなどの寄生虫がつきやすい魚は、一度冷凍されて解凍されたものがおすすめです。
冷凍すれば、味は落ちますが安全性はあがります。アニサキスは-20℃で24時間おけば死滅します。
味を選ぶか、安全性を選ぶかは自分で判断すべき問題です。
マグロ編
日本人はマグロが大好きですが、マグロの種類で購入するかを判断している人は少ないでしょう。しかしマグロは種類によって味が大きく違います。
スーパーで買うなら、本マグロの中トロをお勧めします。赤身の旨みも感じられ、脂ものっています。最高のバランスです。
詳しく、5つの種類のマグロを紹介します。
本マグロ
本マグロはマグロ界の王様です。マグロの濃厚な味わいを感じられます。
マグロの味が好きな人には1番おすすめの種類です。しかし値段も1番高いです。
値段が高くても美味しい物を食べたい人は、本マグロを購入すべきです。
個人的には赤身の残っている中トロがおすすめです。
スーパーで売っている本マグロのほとんどは養殖物で、大トロだと脂がのりすぎていて、マグロの味がしません。
赤身に少し脂がのっているような柵を選ぶべきです。
ミナミマグロ(インドマグロ)
ミナミマグロはスーパーではあまり見かけない種類です。
少し中途半端なマグロです。トロは脂がしっかりのっているのですが、本マグロとくらべて旨みは少ないです。
本マグロの次に値段は高いです。僕なら少し手を伸ばして、本マグロを選びます。
メバチマグロ
値段と味がマッチしたバランスのとれたマグロです。
赤身はマグロの旨みがありながらも、本マグロよりもあっさりしています。
経済的にマグロの赤身を味わい人にはおすすめです。
キハダマグロ
見た目はマグロなのに、食べてみると味がさっぱりしすぎていて、何を食べているか分かりません。
値段と見た目にだまされて、買ってしまいそうになりますが、あまりオススメできません。
ビンチョウマグロ
ビンチョウマグロは見た目も淡いピンク色で、マグロとは名ばかりの違う魚です。
ですが値段はお手頃で、マグロの匂いが苦手な人には人気があります。
癖がないので、さっぱりとした刺身が好きな人にはおすすめです。
サーモン編
スーパーで売られているサーモンは大きく分けて、アトランティクサーモン・トラウトサーモンの二種類です。
アトランティクサーモンを買うことを強くオススメします。
特にノルウェー産のアトランティクサーモンに質は高く、出荷からすぐに空輸されるので、冷凍されず、生でスーパーに置かれることもあります。
サーモンを買うならノルウェー産のアトランテックサーモンでしょう。味は抜群に美味しいです。
トラウトサーモンはチリ産のことが多く、解凍されたものが店頭に並びます。またノルウェー産に比べて、餌に抗生物質が多く使用されています。
それを知って以来、あまりチリ産のトラウトサーモンを買わなくなりました。
ちなみにサーモンは白身なのですが、この記事では白身とは別に紹介しました。
白身編
養殖で活〆されたタイ・ヒラメ・カンパチ・ブリなどは品質が安定していて、あまりハズレをひくことはないでしょう。
安く売られている天然のハマチなどは、養殖ハマチ・ブリを食べている人にとっては物足りなく、生臭さも感じます。
養殖のブリを買えば、大多数の人は満足するはずです。
僕の白身のおすすめはカンパチとシマアジです。食感もあり、脂もちょうどよくのっています。スーパーで見かけたら是非買ってみてください。
光もの編
アジ、サンマ、イワシなどの光ものは鮮度が美味しさに直結します。
光ものを選ぶ時のポイントは見た目です。シンプルに見た目がいいものが美味しいです。
刺身になっている場合、アジ、イワシなら身が透き通っているもの、サンマなら身の色が濃いものです。
刺身にされていない、そのままの青魚は目が透き通っている、輝いている、身が張っているものを選びましょう。
難しく考えず、見た目がいいと思ったものを買いましょう。
柵の切り方
刺身を柵(長細い状態)で買えば、家で切る必要があります。
料理人ではないので難しく考えずに切ればいいのですが、一つだけポイントがあります。
それは厚みです。
身がしまって硬いもは薄く、身が柔らかいものは厚く切るべきです。
身が締まっているものが厚ければ、噛むのが大変で美味しくないです。また身が柔らかいものを薄く切ると、食べた感じがしません。
身の厚さを意識するだけで、家で食べる刺身の味わいは変わります。
結論
この記事の結論として、スーパーで買うべき美味しい魚を発表します。
- 本マグロの中トロ
- ノルウェー産のアトランティクサーモン
- 養殖のブリ・カンパチ
海の近くで育った人や、食通の人は納得しない内容かもしれませんが、大多数の人は満足するはずです。
刺身を買って失敗したくない人は参考にしてください。